アステロムファラス属01

　アステロムファラス属 01-03 (Asteromphalus sp.)

　特徴；殻面は若干縦に長い円形で、殻表面は放散状肋部が隆起部、胞紋部
　　分が沈降部である。
　　胞紋は3斜方向に直線状に配列する。
　　中心域は殻形の約1/2程度である。
　　放散状肋は1本を除いて中心域外側で急激に幅が狭くなり、それより殻縁
　　側では徐々に幅が狭まる。
　　放散状肋のうち1本のみ非常に幅が狭く、中心域縁辺から殻周縁部にかけて
　　ほとんど幅が変わらず、中心域では他の放散状肋と接続する。
　　中心域の隣り合う放散状肋の境界はジグザグである（184b）。
　　中心域にのいて他の放散状肋とは形の異なる放散状肋の周縁部に隣接
　　する位置に粒状の小突起が認められる（184b白矢印・184b-1）。
　　全ての放散状肋の殻周縁端部には1つの孔が存在する（黒矢印）。
　　これは唇状突起の外側開口部と考えられる。
　　中心域は他の放散状肋とは形状が異なる放散状肋の伸びる方向とは反対
　　側に寄る。
　　以上の特徴はTomas(1997)にあるAsteromphalus flabellatusと殻形や
　　放散状肋の数や中心域の片寄り方等が類似するが、中心域の放散状肋同
　　士の境界がジグザグである点、胞紋密度が粗い点で異なる。
　殻径；長径：31.6μm、短径：30.9μm
　胞紋密度；12.5-13.5/10μm
　中心域径；13.1-15.4μm
　肋数；8
　・採取地；千葉県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　アステロムファラス属 01-04 (Asteromphalus sp.)

　特徴；殻面は卵形で、殻表面は放散状肋部が隆起部、胞紋部分が沈降部で
　　ある。
　　胞紋は3斜方向に直線状に配列する。
　　中心域は殻形の約1/2程度で、殻の卵形の幅が広い方に片寄って存在
　　する。
　　放散状肋は1本を除いてやや太く、殻中心域の外側では殻周縁に行くに従い、
　　一度若干幅が狭くなり、殻周縁付近で幅が広がる。
　　放散状肋のうち1本のみ非常に幅が狭く、中心域縁辺から殻周縁部にかけて
　　ほぼ幅が変わららず、中心域では他の放散状肋と接続する。
　　中心域の隣り合う放散状肋の境界はジグザグである。
　　全ての放散状肋の殻周縁端部には1つの孔が存在する（黒矢印）。
　　これは唇状突起の外側開口部と考えられる。
　　以上の特徴はTomas(1997)にあるAsteromphalus flabellatusと殻形や
　　放散状肋の数や中心域の片寄り方等が類似するが、中心域の放散状肋同
　　士の境界がジグザグである点、胞紋密度が粗い点で異なる。
　殻径；長径：45.1μm、短径：37.4μm
　胞紋密度；11-11.5/10μm
　中心域径；19-19.5μm
　肋数；9
　・採取地；千葉県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　　コシノディスクス亜門(Coscinodiscophytina)　コシノディスクス綱(Coscinodiscophceae)　アステロランプ目
　(Asterolamprales)　アステロランプ科(Asterolampraceae)　アステロムファラス属（Asteromphalus）のうち、
　以下の特徴を持つ分類群を掲載しています。
　・殻面は楕円形、やや円形、もしくは卵形である。
　・殻表面は放散状肋部が凸部、胞紋区画が凹み部となる。
　・放散状肋のうち1本は他の放散状肋とは明らかに様相が異なり、中心域縁辺から殻周縁にかけて幅が
　　ほぼ一定で非常に狭い。
　・幅が一定で顕著に細い放散状肋は中心域で他の放散状肋と接続する。
　・中心域は幅が一定で顕著に細い放散状肋が伸びる方向とは反対側に片寄る。
　このページに掲載されている標本は茨城県北部と千葉県北部の堆積層から採取した個体です。

　アステロムファラス属 01-02 (Asteromphalus sp.)

　特徴；殻面は若干横に長い円形で、やや上下非対称である。
　　殻表面は放散状肋部が隆起部、胞紋部分が沈降部である。
　　放散状肋は1本を除いて中心付近では幅広く、殻周縁部に行くに従い先細る
　　（710b）。
　　他の放散状肋と形の異なる1本の放散状肋は、中心域縁辺から殻周縁部に
　　かけてほとんど幅が変わらず極めて細く、中心域では他の放散状肋と接続
　　する（710b）。
　　中心域の隣り合う放散状肋の境界は直線状である。
　　全ての放散状肋の殻周縁端部には1つの孔が存在する（710ｂ矢印・
　　710b-1）。これは唇状突起の外側開口部と考えられる。
　　中心域は他の放散状肋と形状が異なる放散状肋の伸び方向とは反対側に
　　片寄る。
　　以上の特徴はTomas(1997)にあるAsteromphalus flabellatusと放散状
　　肋の数や中心域の片寄り方等が一致するが、殻形が横長であること、胞紋
　　密度が粗い点で異なる。
　殻径47.2μm
　胞紋密度；11.5-12.5/10μm
　肋数；9
　・採取地；千葉県北部2(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　アステロムファラス属 01-01 (Asteromphalus sp.)

　特徴；殻面は若干横に長い円形で、殻表面は放散状肋部が隆起部、胞紋部
　　分が沈降部である。
　　放散状肋は1本を除いて中心付近では幅広く、殻周縁部に行くに従い先細る。
　　放散状肋のうち1本のみ、中心域縁辺から殻周縁部にかけてほとんど幅が
　　変わらずに極めて細く、中心域では他の放散状肋と接続する。
　　中心域の隣り合う放散状肋の境界は直線状である。
　　中心域は他穂放散状肋と様相が異なる放散状肋の伸びる方向とは反対側
　　に片寄る。
　　以上の特徴はTomas(1997)にあるAsteromphalus flabellatusと放散状
　　肋の数や中心域の片寄り方等が一致するが、殻形が横長であること、胞紋
　　密度が粗い点で異なる。
　殻径；54.0μm
　胞紋密度；10.5-11.5/10μm
　肋数；9
　・採取地；千葉県北部2(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

参考文献；
　　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　　・Tomas, C. R., 1997. Identifying marine phytoplankton., Academic press.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au