クラシデンティクラ属02-02 (Crucidenticula punctata (Schrader) Akiba and Yanagisawa)
　特徴；殻は比較的大きく、殻形は細長い楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。
　　胞紋は比較的大きな円形で、5点型配列である（102c）。
　　擬隔壁は殻面を横切るように走り、これらのうち、basal ridgeを伴う第一擬隔壁はほぼ均質である
　　（102b）。
　　隣り合う2本の第一擬隔壁間にはbasal ridgeを伴わない第二擬隔壁が0-2本認められる。
　　また、光学顕微鏡観察では殻を横断せずに殻中程でのみ認識できなくなる不完全な擬隔壁様構造
　　（102b）が認められる。
　　2本の隣り合う擬隔壁もしくは擬隔壁様構造間の両殻縁には周縁肋が0-2本存在する。
　　102aは殻内側のbasal ridgeに、102bは殻内側擬隔壁と周縁肋に、102cは殻外側に焦点があっている。
　殻長；38μm
　殻幅；7.3μm
　胞紋列密度；14-15/10μm
　胞紋密度；10-11/10μm
　第一擬隔壁密度；3-4/10μm
　周縁肋密度；15-16/10μm
　・採取地；茨城県中部1(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　クラシデンティクラ属02-01 (Crucidenticula sp.)
　特徴；殻は比較的大きく、殻形は細長い楕円形で、殻先端はややくさび形である。
　　胞紋は比較的大きな円形で、5点型配列であるが、5点のうちの1つが欠けることがある（1024d）。
　　擬隔壁は殻面を横切るように走り、これらのうちbasal ridgeを伴う第一擬隔壁はおよそ均質である
　　（1024a・b）。
　　隣り合う2本の第一擬隔壁間にはbasal ridgeを伴わない第二擬隔壁が0-2本認められる。
　　また、光学顕微鏡観察では殻縁では明瞭で殻中程でのみ認識できなくなる不完全な擬隔壁様構造
　　（1024c矢印）が認められる。これは下記の参考文献Akiba and Yanagisawa　(1986)の
　　rudimentary pseudosepta(原始的な、未発達な擬隔壁）に相当するのか、長めの周縁肋であるのかは
　　光学顕微鏡観察では判断は難しい。
　　2本の隣り合う擬隔壁もしくは擬隔壁様構造間の両殻縁には周縁肋が1-2本存在する（1024b・c・d）。
　　この標本は第一擬隔壁密度がCrucidenticula punctataのそれよりも粗い。
　　今後さらに検討が必要である。
　　1024aは殻内側のbasal ridgeに、1024b・cは殻内側擬隔壁と周縁肋に、1024dは殻外側に焦点が
　　あっている。
　殻長；30μm
　殻幅；6.4μm
　胞紋列密度；14-16.5/10μm
　胞紋密度；9.5-12/10μm
　第一擬隔壁密度；2-2.5/10μm
　周縁肋密度；15-17/10μm
　crossbarの幅；1.00-1.28μm
　・採取地；茨城県北部3(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

---

参考文献；
　・Akiba, F. and Yanagisawa, Y., 1986. Taxonomy, morphorogy and phylogeny of the Neogene diatom
　　zonal marker species in the middle-to-high latitudes of the North Pacific. Inicial Reported of the
　　Deep Sea Drilling Project, 87: 438-554.
　・Yanagisawa, Y. and Akiba, F.,1990. Taxonomy and phylogeny of the three marine diatom genera,
　　Crucidenticula, Denticulopsis and Neodenticula. 地質調査所月報, 41, 197-301.


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　 バシラリア亜門(Bacillariophytiae) バシラリア綱(Bacillariophyceae) バシラリア目(Bacillariales) バシラリア科
　(Bacillariaceae) クルシデンティクラ属(Crucidenticula) のうち、主に以下の特徴を持つ分類群を掲載します。
　・殻は比較的大型で、細長い楕円形で、殻先端は広円形もしくはややくさび形である。
　・胞紋は円形で比較的大きく、5点型配列をする。
　・擬隔壁はbasal ridgeを伴うもの（第一擬隔壁）と伴わないもの（第二擬隔壁）両方が認められる。
　この分類群の特徴は、Yanagisawa and Akiba (1990)、Akiba and Yanagisawa(1986)のCrucidenticula punctata
　と特徴が一致しています。
　このページに掲載されている標本は茨城県北部と中部・千葉県房総半の堆積層から採取した個体です。

ページ作成および更新情報
　作成日：2016.06.30
　最終更新：2024.02.26　更新

---

　クラシデンティクラ属02-04
　(Crucidenticula punctata (Schrader) Akiba and Yanagisawa)

　特徴；殻形は楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。
　　胞紋は円形、5点型配列をし、殻を横切る方向に胞紋列を作る（2029c）。
　　擬隔壁は第一と第二があり、第二擬隔壁は未発達な場合がある(2029b)。
　　隣り合う2本の第一擬隔壁間には第二擬隔壁が0-1本認められる。
　殻長；13.8μm
　殻幅；5.7μm
　胞紋列密度；16-16.5/10μm
　胞紋密度；11-13/10μm
　第一擬隔壁密度；3.5-4/10μm
　・採取地；千葉県房総半島(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　クラシデンティクラ属02-03
　(Crucidenticula punctata (Schrader) Akiba and Yanagisawa)

　特徴；殻形は細長い楕円形もしくは太い線形で、殻先端は丸みを帯びる。
　　胞紋は比較的大きな円形で、5点型配列である（90c）。
　　擬隔壁は殻面を横切るように走る。
　　隣り合う2本の第一擬隔壁間には第二擬隔壁が0-1本認められる。
　　また、これらとは別に光学顕微鏡観察では殻を横断せずに殻中程で
　　のみ、認識できなくなる不完全な擬隔壁様構造（90c）が認められる。
　　2本の隣り合う擬隔壁もしくは擬隔壁様構造間の両殻縁には周縁肋が
　　1-2本存在する。
　　90aは殻内側の擬隔壁と周縁肋に、90cは殻外側に焦点があっている。
　殻長；22.6μm
　殻幅；5.8μm
　胞紋列密度；15/10μm
　胞紋密度；11-13/10μm
　第一擬隔壁密度；3-4/10μm
　周縁肋密度；15/10μm
　・採取地；茨城県中部1(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。