キンベラ属10

　バシラリア亜門(Bacillariophytiae) バシラリア綱(Bacillariophyceae) キンベラ目(Cymbellales)
　キンベラ科(Cymbellaceae) キンベラ属(Cymbella)のうち、以下の特徴を持つ分類群を掲載します。
　・殻面の背側殻縁は膨出し、腹側殻縁はほぼ直線状で殻中心でわずかに膨出する。
　・殻端は片側は丸まり、他方はわずかに引っ張り出されたのちに丸まる。
　・縦溝は殻中央やや腹側を蛇行しながら走り、外裂溝と内裂溝の位置が途中で入れ替わる。
　・縦溝殻中心側端部は孔を作る。
　・軸域はやや広く、中心域はないように見え、遊離点はない。
　これらの分類群は北海道東部の湖成層から産出しました。

　キンベラ属 10-01　(Cymbella sp.)

　殻長；67.9μm
　殻幅；17.4μm
　条線密度；腹側 10-13.5/10μm　背側 7.5-10/10μm
　胞紋密度；背側 24-27/10μm
　特徴；殻面は背腹性を持ち、わずかに上下非対称に見える。
　　腹側殻縁はおおむね直線状で殻中心付近がわずかに膨出し、背側殻縁は弧状に曲がり、殻端は丸まる。
　　条線は胞紋列を伴い、背側・腹側ともに放散状に配列し、片方の殻端では軸域を取り巻くように並び、
　　他方では欠如するように見える。
　　胞紋は非常に細かく、背側は計測可能であるが、腹側では光学顕微鏡下でかろうじて見える程度である。
　　軸域は比較的広く、わずかに腹側寄りを走り、殻端に行くに従い徐々に狭くなる。
　　縦溝は軸域内を直線状に走り、途中で外裂溝と内裂溝の位置が入れ替わる。
　　縦溝の殻中心側端部は殻外側表面では孔を作り腹側に頭をもたげて終わり、殻内側ではつながっている
　　ように見える(1316a-1)。
　　縦溝殻端側端部は腹側に丸みを持つフック状に曲がる。
　　縦溝端部の殻内側は殻末端に達しずに肥厚化して突起の様な構造を作って終わるように見える。
　　以上の特徴はKrammer＆Lange-Bertalot(1997)のCymbella austriacaと一致する点が多いが、外形の上下
　　非対称な点が異なる。
　・採取地；北海道東部2(湖成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

参考文献；
　・Krammer, K. and Lange-Bertalot, H., 1999. Susswasserflora von Mitteleuropa, Bacillariophyceae1.
　　Spektrum AKADEMISCHER VERLAG.
　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au