エンシオネマ属Top

参考文献；
　・Krammer, K. and Lange-Bertalot, H., 1999. Susswasserflora von Mitteleuropa, Bacillariophyceae1.
　　Spektrum AKADEMISCHER VERLAG.
　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　・渡辺仁治, 2005. 淡水珪藻生態図鑑, 内田老鶴圃.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　珪藻統合エンキオネマ属 01
　(Encyonema minutum (Halse ex Rabenhorst) D. G. Mann)
　特徴；比較的小型で、背側殻縁は弧状に曲がり、腹側殻縁は直線状である。
　　条線は密度はやや細かい。
　　軸域は非常に狭く、中心域は無い。
　　縦溝は腹側殻縁近くを直線状に走る。
　　現生では淡水域の河川で、化石では泥炭層から認められた。
　・スケールバーは10μm

　珪藻統合エンキオネマ属 02
　(Encyonema silesiacum (Bleisch) D. G. Mann)
　特徴；背側殻縁は膨出し、腹側殻縁は直線状の三日月形で、殻端は引っ張り出さ
　　れることが多い。
　　条線は密度は比較的粗い。
　　縦溝は腹側殻縁近くを直線状に走り、初期殻では殻端より明瞭に中心寄りの殻
　　面で腹側に曲がる。
　　軸域は狭く、殻中心の背側には遊離点が存在する。
　　現生では淡水域の河川で認められ、化石では海成層から産出したが、淡水域
　　からの再堆積と考えられる。
　・スケールバーは10μm

　エンキオネマ属 01　(Encyonema sp. (mesianus?))
　特徴；比較的大型で、殻面は腹側殻縁が直線状、背側殻縁が膨出する三日月形である。
　　条線密度は比較的粗く、条線配列はおおむねで弱い放散状である。
　　軸域は比較的広い。
　　縦溝は腹側殻縁に寄った位置を直線状に走り、殻中心側端部は背側に若干曲がって
　　終わり、殻端側端部は腹側に強く折れ曲がる。
　　海成層から産出したが、おそらく淡水域からの再堆積と思われる。
　・スケールバーは10μm

　エンシオネマ属06-01 (Encyonema　gracile Rabenhorst)
　(個別のページはありません)
　特徴；殻面は背腹性を持ち、腹側殻面は直線状、背側殻面は緩やかな弧状
　　に曲がる細い三日月形で、殻端は弱く引っ張り出される。
　　条線は背側は弱い放散状、腹側はおおむね弱い収れん状である。
　　背側・腹側ともに条線密度は殻端に行くに従い細かくなる。
　　胞紋は光学兼備許可では観察できなかった。
　　縦溝やや腹側殻縁寄りをおおむね真直ぐに走り、殻中心側端部は背側に
　　曲がって終わり、殻端では腹側に弱く曲がる。
　　以上の特徴からこの標本は渡辺（2005）のEncyonema lunatumの記載と
　　類似する。また、Krammer＆Lange-Bertalot(1997)のCymbella gracilisと
　　特徴がほぼ一致する。C. gracilisはC.lunataの同種異名である。
　　現在この分類群はエンキオネマ属とされ、Encyonema gracileとすること
　　が主流の様である。このHPでもE. gracileを用いる。
　殻長；31.1μm
　殻幅；5.0μm
　条線密度；背側腹側とも13-14/10μm
　・採取地；群馬県南部1(泥炭層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　　このページでは、バシラリア亜門(Bacillariophytiae) バシラリア綱(Bacillariophyceae) キンベラ目(Cymbellales)
　キンベラ科(Cymbellaceae) エンキオネマ属(Encyonema)の画像を紹介します。
　　エンキオネマ属は淡水域に生息する珪藻で、植物表面や岩石表面に粘液質の管を形成して
　付着し、管内に群体で生息します。稀に単独で生息します。
　エンキオネマ属の殻面は強い背腹性を持ち、ほとんどの場合、背側殻縁は弧状に曲がり、腹側殻縁は直線状です。
　縦溝は殻面を直線状に走り、殻端で腹側に曲がります。