オドンテラ属01

　バシラリア亜門(Bacillariophytiae) チュウカンケイソウ綱(Mediophyceae)　トリケラチウム目
　(Triceratiales)　トリケラチウム科 (Triceratiaceae) オドンテラ属(Odontella)のうち、以下の特徴を持つ
　分類群を掲載しています。
　・殻面は楕円形または丸みを帯びた披針形で殻端と殻中央部が隆起する。
　・殻面の両殻端の隆起部は基部が太く先細りする。
　・殻面中央の隆起部はドーム状で、2本のチューブ状の突起が認められる。
　・殻帯面は四角形で四隅が突出し（糸巻き状）、殻面に対して外側斜め上の方向に伸びる。
　・胞紋は円形で個々に独立して存在する。
　・帯部分で胞紋は高さ方向と帯縁辺に沿った方向に直線状の胞紋列を作り、帯中程ではその配列は
　　乱れる。
　以上の特徴は下記の山路（1979）のOdontella auritaと類似しています。
　このページに掲載されている標本は千葉県北部・中部、茨城県北部の堆積層から採取した個体です。
　＊オドンテラ属はユーポディスクス目オドンテラ科に属するとする研究もあります。

　オドンテラ属 01-01 (Odontella sp.)

　特徴；殻帯面は四角形で、四隅が突出した糸巻き状である。
　　殻面は中央と両殻端が突出し、両殻端は基部が幅広く先端は先細り、殻面
　　中央はドーム状に隆起する。
　　殻面の胞紋は多角形である。
　　この標本のドーム状隆起部にはチューブ状突起は認められない。
　　帯は幅広く横長の四角形で、円形の胞紋が縦方向に胞紋列を作り、直線
　　状に配列する。
　殻長；16.0μm
　殻高；8.2μm
　帯高；8.5μm
　胞紋密度；殻面：6-7/10μm　帯片：10.5-12.5/10μm
　・採取地；千葉県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

参考文献；
　　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　　・山路　勇, 1879., 日本海洋プランクトン図鑑増補改訂版, 保育社.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　オドンテラ属 01-02 (Odontella sp.)

　特徴；殻面は細長い楕円形もしくは披針形である。
　　殻中央部は殻縁まで達する横長の楕円形のドーム状に隆起し、2本のチュー
　　ブ状突起が認められる（648b）。
　　これは唇状突起の外側開口部と考えられる。
　　殻面両殻端は基部が幅広い突出部となる。
　　殻面の胞紋は円形で殻両端の突出部の胞紋が突出部が伸びる方向に直線
　　状の胞紋列を作る（648c）ことを除いては、配列に規則性は認められない。
　殻長；35.4μm
　殻幅；16.5μm
　胞紋密度；8-9.5/10μm
　・採取地；茨城県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　オドンテラ属 01-03 (Odontella sp.)

　特徴；殻面は細長い楕円形もしくは披針形である。殻中央部はドーム状に隆
　　起し、2本の突起が認められる。
　　これは唇状突起の外側開口部と考えられる。
　　殻面両殻端は基部が幅広い突出部となる。
　　殻面の胞紋は円形で、高さ方向に直線状の胞紋列を作る。
　殻長；25.9μm
　殻高；12.7μm
　胞紋密度；8.5-9.5/10μm
　・採取地；茨城県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm　　　　　　　　　　　　

　オドンテラ属 01-04 (Odontella sp.)

　特徴；殻面は細長い楕円形もしくは披針形である。殻中央部はドーム状に隆起
　　し、2本の突起が認められる。これは唇状突起の外側開口部と考えられる。
　　殻面両殻端は突出し、この突出部は基部が幅広く、先端に行くに従い先細り
　　する。
　　殻面の胞紋は円形で、突出部の伸び方向に直線状の胞紋列が認められる。
　殻長；23.2μm
　殻高；11.4μm
　胞紋密度；10-10.5/10μm
　・採取地；茨城県北部7
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　オドンテラ属 01-05 (Odontella sp.)

　特徴；殻帯面は逆さ向きの台形である(1982-comb・b)。
　　殻中心はドーム状で真ん中が凹む隆起部が、両殻端には基部は幅広く末端に
　　行くに従い先細る隆起部がある(1982-comb)。
　　胞紋は殻中心から放散状に配列し(1982-comb)、殻端隆起部の末端付近の
　　胞紋は小さくなる(1982a-1)。
　　殻面中心には2本の管状突起が存在する(1982-comb)。
　殻長；40.9μm
　殻高；14.0μm
　胞紋密度；6.5-8/10μm
　・採取地；千葉県房総半島(中新世の堆積層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm
　・1982-combは焦点深度合成写真です。