テトラキクルス属04

　バシラリア亜門(Bacillariophytiae) バシラリア綱(Bacillariophyceae) タベラリア目(Tabellariales) タベラリア科
　(Tabellariaceae) テトラキクルス属(Tetracyclus)のうち、以下の特徴を持つ分類群を掲載します。
　・殻は比較的小型で、殻面は楕円形または丸みを帯びた菱形で、殻中心の殻縁は弱く膨出することがある。
　・肋は殻端付近で湾曲する。
　・条線は光学顕微鏡下では不明瞭ではあるが、肋間に複数本並ぶ。
　・唇状突起は殻中心付近の殻縁沿いに1個認められる。
　・帯片(copula)の隔壁は板状で殻端付近に認められる。
　この分類群はKrammer&Lange-Bertalot(2004)のTetracyclus rupestrisと似ているが、軸域が線状または
　ほとんどないように見える点が異なります。
　また、この分類群はDiatoma mesodonとも類似しますが、帯片に隔壁があることで見分けがつきます。
　このページに掲載されている標本は北海道東部の堆積層から採取した個体です。

　テトラキクルス属04-01 (Tetracyclus sp.)

　特徴；この標本では殻面(1396c)と帯片(1396a)が観察できる。
　　殻面は丸みを帯びた菱形で、殻中心付近の殻縁が弱く膨出する。
　　横断肋はやや幅が広く、殻面を直線状に、または途中で曲がりながら斜め
　　に横断する。
　　横断肋は殻面の途中でと消滅することがある。
　　肋間には胞紋列からなる脆弱な条線が存在し、殻端付近では湾曲する。
　　殻中心付近の殻縁沿いには1個の唇状突起が存在する(1396c)。
　　帯片は片側殻端に板状の擬隔壁を持ち、その幅は比較的狭い。
　殻長；18.6μm
　殻幅；11.5μm
　肋密度；約4/10μm
　条線密度；19-21.5/10μm
　胞紋密度；19.5-23/10μm
　・採取地；北海道東部2(湖成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　テトラキクルス属04-02 (Tetracyclus sp.)

　特徴；この標本では殻面(1396c)と帯片(1396a)が観察できる。
　　殻面は楕円形であるる。
　　横断肋はやや幅が広く、おおむね平行に配列し、殻端では弱く湾曲する。
　　横断肋は殻面の途中でと消滅することがある。
　　肋間には胞紋列からなる脆弱な条線が存在する。
　　長軸方向中央には非常に狭い軸域が存在し、両殻端に一番近い肋間を
　　走る(1395b)。
　　帯片は片側殻端に板状の擬隔壁を持つ(1395a)。
　　この標本はKrammer&Lange-Bertalot(2004)のTetracyclus rupestrisと殻
　　の大きさ、肋密度、条線密度などが一致するが、T. rupestrisは軸域がラン
　　セット状で幅が殻幅の半分を占めるのに対して、この標本は非常に狭い線状
　　である点が異なる。
　殻長；17.3μm
　殻幅；11.3μm
　肋密度；約3.5/10μm
　条線密度；22-23/10μm
　・採取地；北海道東部2(湖成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

参考文献；
　・Krammer, K. and Lange-Bertalot, H., 2004. Susswasserflora von Mitteleuropa, Bacillariophyceae3.
　　Spektrum AKADEMISCHER VERLAG.
　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au