シオノディスクス属04

参考文献；
　・Alverson, A, J., Kang, S-H ＆Theriot, E, C., 2006. Cell wall morphology and systematic importance
　　of Thalassiosira ritscheri (Hustedt) Hasle, with a description of Shionodiscus gen. nov. Diatom
　　Research 21; 215-262.
　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　・Shiono, M., and Koizumi, I., ,2001., Phylogenic evolution of the Thalassiosira trifulta group
　　(Bacillariophyceae) in　the northwestern Pacific Ocean. J. Geol. Soc. Jpn, 107; 496-514.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　　バシラリア亜門(Bacillariophytiae) チュウカンケイソウ綱(Mediophyceae) タラシオシラ目
　(Thalassiosirales) タラシオシラ科(Thalassiosiraceae) シオノディスクス属（Shionodiscus）
　S. praeoestrupiiを紹介します。
　この分類群は以下の特徴を持ちます。
　・殻は円形で、周縁部に突起は無い。
　・胞紋は偏心的に配列し、殻周縁に行くに従い密度が細かくなる。小型の個体の場合、急激に細かく
　　なるように見える。
　・殻中心付近と殻の中心と周縁の中間付近に他の胞紋とは焦点深度の異なる小胞紋が1つずつ認め
　　られる。
　・殻周縁部の内側には周縁部から中心部に向かって伸びる短い線状の突起がほぼ等間隔に配列する。
　この分類群の特徴は、下記の参考文献のShiono and Koizumi(2001)に記載されているThalassiosira
　praeoestrupiiの特徴と一致しています。また、T. praeoestrupii を含むThalassiosira trifulta グルー
　プはAlverson et.al.,(2006)によりシオノディスクス属（Shionodiscus）とされています。
　このページに掲載されている標本は千葉県北部・茨城県北部の堆積層から採取した個体です。
　＊この分類群に関しては、当サイト内に「Shionodiscus」のページがあり、より詳細に記述されています。
　　→「Shionodiscus」のページへ

　シオノディスクス属 04-01
　（Shionodiscus praeoestrupii (Dumont et al.)Alvertson et al.)

　特徴；殻面は円形で、周縁に突起が認められない。
　　胞紋は偏心的に配列し、周縁部に行くに従い、徐々に胞紋密度が細か
　　くなる。
　　殻中心付近（842b黒矢印）と殻中心と周縁の中程（842b白矢印）に
　　他の胞紋とは焦点深度の異なる小胞紋が1つずつ存在する。
　　前者は中心域有基突起、後者は唇状突起である。
　　殻内側の殻周縁には殻縁から中心に向って伸びる短い線状の突起が
　　認めれる（842c黒矢印）。これは周縁部有基突起である。
　殻形；円形
　殻径；19.3μm
　胞紋密度；殻面：7.5-8.5/10μm　周縁部：11.5-14.5/10μm
　周縁部有基突起間距離；3.1-3.65μm
　・採取地；千葉県北部2(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　シオノディスクス属 04-02
　（Shionodiscus praeoestrupii (Dumont et al.)Alvertson et al.)

　特徴；殻面は円形で、周縁に突起が認められない。
　　胞紋は偏心的に配列し、周縁部に行くに従い、徐々に胞紋密度が細か
　　くなる。
　　殻中心付近（845a黒矢印）と殻中心と周縁の中程（白矢印）
　　に他の胞紋とは焦点深度の異なる小胞紋が1つずつ存在する。
　　前者は中心域有基突起、後者は唇状突起である。後者は焦点深度に
　　よっては細長い楕円形の構造として観察される（845b白矢印）。
　　殻内側の殻周縁には殻縁から中心に向って伸びる短い線状の突起が
　　認めれる（845b周縁部の黒矢印）。これは周縁部有基突起である。
　　845aは殻外側に、845bは殻内側に焦点があっている。
　殻形；円形
　殻径；24.1μm
　胞紋密度；殻面：7.5-9/10μm　周縁部：11-14.5/10μm
　周縁部有基突起間距離；4.17-5.45μm
　・採取地；千葉県北部2(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　シオノディスクス属 04-03
　（Shionodiscus praeoestrupii (Dumont et al.)Alvertson et al.)

　特徴；殻面は円形で、周縁に突起が認められない。
　　胞紋は偏心的に配列し、周縁部に行くに従い、徐々に胞紋密度が細かく
　　なる。
　　殻中心から若干外れた位置（黒矢印）と殻周縁部やや内側（白矢印）に
　　他の胞紋とは焦点深度の異なるやや小さい胞紋が1つずつ存在する。
　　前者は中心域有基突起、後者は唇状突起である。
　殻形；円形
　殻径；18.6μm
　胞紋密度；殻面：8-10.5/10μm　周縁部：16.5-19/10μm
　・採取地；茨城県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm