アクティノキクルス属01

参考文献；
　・Akiba, F., and Yanagisawa, Y.,1986.Taxonomy,morphorlogy and phylogeny of the Neogene
　　diatom zonal marker species in the middle-to-high latitudes of the North Pacific. Initial
　　Reports of the Deep Sea Drilling Project, 87: 438-554.
　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　・Tomas, C. R.,1997. Identifying marine phytoplankton, Academic Press.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　アクチノキクルス属 01-01-03（Actinocyclus ingens Rattray）

　特徴；殻は円形で同心円状に波打ち、殻中心部は隆起する。
　　殻面と殻蓋は胞紋配列と胞紋サイズが異なることで明確に見分けられ、
　　殻蓋は殻面に対して斜めに広がる。
　　殻面の胞紋は個々に独立して存在し、胞紋列を作り放散状に配列する。
　　殻蓋の胞紋は互いに隣接して環状に配列し、少なくとも3つの環状列を
　　作り、その大きさは殻面に比べ明らかに小さい。
　　殻周縁の殻蓋の胞紋内には縦長の胞紋が等間隔で存在する。
　　これは唇状突起の外側開口部である。
　　殻面と殻蓋の境界には小孔の集合域が1つ存在する。
　　これは擬結節（pseudonodulus）である。
　殻径；39.9μm
　胞紋密度；殻面4-5.5/10μm　殻蓋：7.5-9.5/10μm
　・採取地；千葉県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　　コシノディスクス亜門(Coscinodiscophytina)　コシノディスクス綱(Coscinodiscophceae)　コシノディスクス目
　(Coscinodiscales)　ヘミディスクス科(Hemidiscaceae)　アクチノキクルス属（Actinocyclus) A. ingensのうち、
　以下の特徴を持つ分類群を紹介します。
　・擬結節は小孔の集合体で、殻面と殻蓋の境界かつ隣り合う周縁部唇状突起間に存在する。
　・殻面の胞紋は胞紋列を作り放散状に配列するが、胞紋列の束は作らない。
　・胞紋は殻中心付近まで伸びる長い胞紋列とこれらの長い胞紋列間にる短い胞紋列を作る。
　・長い胞紋列の殻周縁側に唇状突起が存在し、これらはおおむね等間隔である。
　・殻中心付近には環状構造は無く、無紋か1個の胞紋がある。
　この分類群は下記の論文Akiba and Yanagisawa.(1986)に記載されているActinocyclus ingensの特徴と
　一致します。

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コシノディスクス目
　(Coscinodiscales)
　ヘミディスクス科
　　(Hemidiscaceae)
　　アクチノキクルス属
　　　(Actinocyclus)
　　　01(A. ingens)
　　　03
　　　04　
　　　06(A. ellipticus)　
　　　09
　　　10

　アクチノキクルス属 01-01-01 （Actinocyclus ingens Rattray）

　特徴；殻は円形で平坦である。
　　殻面に対して殻蓋は斜めに広がる。
　　胞紋は円形で個々に独立し、放散状に配列する。
　　胞紋密度は殻面と殻蓋の境界で急激に変化し、殻蓋では
　　殻面よりも細かくなる（624b）。
　　殻蓋の胞紋は環状に配列し、環状列が数列認められる。
　　比較的長いも胞紋列の殻周縁側延長上の殻内側には殻周縁から中心に
　　向って短い突起が伸びる。
　　これらは唇状突起で環状に等間隔に配列する（624c）。
　　殻面と殻蓋の境界には小孔の集合域が1つ存在する（624c矢印）。
　　これは擬結節（pseudonodulus）である。
　　624aは殻外側に、624bは殻内側に焦点があっている。
　殻径；29.4μm
　胞紋密度；殻面：5-6/10μm　殻蓋：8.5-9.5/10μm
　殻面の胞紋径；0.58-1.19μm
　殻周縁唇状突起間距離；6.9-10.1μm
　・採取地；茨城県北部7
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　アクチノキクルス属 01-01-04（Actinocyclus ingens Rattray）

　特徴；殻は円形で同心円状に波打つ。
　　殻面と殻蓋は胞紋配列と胞紋密度が異なることで明確に見分けられる
　　（1405c）。
　　殻面の胞紋は円形または丸みを帯びた四角形で、個々に独立して存在
　　し、胞紋列を作る。
　　胞紋列は放散状に配列し、おおむね長短の胞紋列が交互に並ぶ。
　　殻蓋の胞紋は互いに隣接して環状に配列し、数列の環状列を作り、
　　その密度は殻面に比べ明らかに細かい。
　　殻周縁の殻内側には唇状突起が環状に等間隔に並び、殻面外側の開
　　口部は長い胞紋列の殻周縁端部に存在する。
　　殻周縁付近には小孔の集合域が1つ存在する。
　　これは擬結節（pseudonodulus）で、周縁部唇状突起の環状列よりもやや
　　中心寄りに存在する。
　殻径；40.9μm
　胞紋密度；殻面4.5-5.5/10μm　殻蓋：8.5-10/10μm
　周縁部唇状突起間距離；6.6-8.8μm
　・採取地；茨城県中部1(中期中新世の海成層)
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　アクチノキクルス属 01-01-02（Actinocyclus ingens Rattray）

　特徴；殻は円形で平坦である。
　　殻面に対して殻蓋は斜めに広がる（1018b・c）。
　　胞紋は円形で個々に独立し、放散状に配列する。
　　殻中心は無紋である。
　　胞紋密度は殻面と殻蓋の境界で急激に変化し、殻蓋では殻面よりも細かく
　　なる（1018b・c）。
　　殻蓋の胞紋は環状に配列し、環状列が少なくとも3列認められる。
　　殻内側には周縁部から突起が伸び、おおよそ等間隔に環状に並ぶ（1018d
　　白矢印）。これらは唇状突起である。
　　殻面と殻蓋の境界には小孔の集合域が1つ存在する黒矢印）。
　　これは擬結節（pseudonodulus）である。
　　1018b・cは殻外側に、1018dは殻内側に焦点があっている。
　殻径；50.1μm
　胞紋密度；殻蓋：9/10μm
　殻面の胞紋径；0.78-1.86μm
　殻周縁唇状突起間距離；7.36-9.01μm
　・採取地；茨城県北部3(中期中新世の海成層)
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm