アクティノキクルス属03

　　コシノディスクス亜門(Coscinodiscophytina)　コシノディスクス綱(Coscinodiscophceae)　コシノディスクス目
　(Coscinodiscales)　ヘミディスクス科(Hemidiscaceae)　アクチノキクルス属（Actinocyclus)のうち、以下の
　特徴を持つ分類群を掲載しています。
　　・殻面は円形で、殻周縁部は丸みを帯びる。
　　・殻面の胞紋は円形で、個々に独立して存在し、束状に配列する。
　　・胞紋は殻周縁に近づくにつれ、徐々に密度が細かくなる。
　　・殻面と殻蓋の境界は不明瞭である。
　　・殻蓋の胞紋は互いに隣接し、偏心的に配列する。
　　・殻周縁内側には突起が認められ、等間隔で環状に配列する。
　　・この突起の殻内側の構造は扇形の形態を持ち、光学顕微鏡でも観察できることがある。
　　・殻周縁突起の環状列のやや内側に大きな孔の形態を持つ擬結節（pseudonodulus）が1つ認められる。
　　この分類群は下記の参考文献Tomas（1997）のActinocyclus octonariusの特徴に類似しています。

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コシノディスクス目
　(Coscinodiscales)
　ヘミディスクス科
　　(Hemidiscaceae)
　　アクチノキクルス属
　　　(Actinocyclus)
　　　01(A. ingens)
　　　03
　　　04　
　　　06(A. ellipticus)　
　　　09
　　　10

　アクチノキクルス属 03-05 (Actinocyclus sp.)

　特徴；殻は円形で、殻周縁部は丸みを帯び、殻面と殻蓋の境界は不明瞭
　　である。
　　胞紋は殻周縁に行くに従いその密度が徐々に細かくなる。
　　胞紋は胞紋列を作り、放散状かつ束状に配列する。
　　胞紋列の束は束の中心胞紋列に平行に配列し、隣り合う束との間には
　　1列の長い胞紋列が存在し、どちらの束にも属さない。
　　この長い胞紋列の殻周縁側端部には突起上の構造が認められ、これらは
　　唇状突起と考えられる。
　　唇状突起はおおむね等間隔に配列する。
　殻径；29.1μm
　胞紋密度；殻面：9.5-10.5/10μm　殻蓋：16.5-18.5/10μm
　周縁部唇状突起間距離；12.8-13.8μm
　・採取地；茨城県北部3(中期中新世の海成層)
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　アクチノキクルス属 03-01 (Actinocyclus sp.)

　特徴；殻は円形で、殻周縁部は丸みを帯び、殻面と殻蓋の境界は不明瞭
　　である。
　　胞紋は円形で個々に独立し、胞紋列を作り束状に配列する。
　　殻中心では配列は不明瞭となる。
　　殻周縁に行くに従い、徐々に胞紋密度は細かくなる（704b）。
　　殻蓋の胞紋同士は隣接し、偏心的に配列する。
　　殻周縁部内側には扇形の突起が認められ、おおよそ等間隔に環状に配列
　　する（704d-2）。これらは唇状突起である。
　　唇状突起の環状列のやや内側に細い環状の畝に囲まれた目立つ孔が1つ
　　存在する。この孔は擬結節（pseudonodulus）である。
　　704bは殻外側に、704dは殻内側に焦点があっている。
　殻径；32.6μm
　胞紋密度；殻面：8.5-10/10μm　殻蓋：16.5-17/10μm
　周縁部唇状突起間距離；6.56-10.86μm
　唇状突起最大幅；2.18-2.57μm
　擬結節径；1.6μm
　・採取地；千葉県北部2(鮮新世の海成層)
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

参考文献；
　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　・Tomas, C. R., 1997. Identifying marine phytoplankton., Academic press.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　アクチノキクルス属 03-02 (Actinocyclus sp.)

　特徴；殻は円形で、殻周縁部は丸みを帯び、殻面と殻蓋の境界は不明瞭
　　である。
　　胞紋は円形で個々に独立し、胞紋列を作り束状に配列する。
　　胞紋は殻中心では配列は不明瞭となり、殻周縁に行くに従い、徐々に
　　胞紋密度は細かくなる。
　　殻周縁部には胞紋とは異なる様相の孔が認められ、環状に配列する。
　　これはおそらく唇状突起の開口部と考えられる。
　　唇状突起の環状列のやや内側に細い環状の畝に囲まれた目立つ孔が
　　1つ存在する（矢印）。この孔は擬結節（pseudonodulus）である。
　殻径；41.2μm
　胞紋密度；殻面：8-8.5/10μm　殻蓋：13-15.5/10μm
　周縁部唇状突起間距離；10.2-12.2μm
　・採取地；千葉県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　アクチノキクルス属 03-03 (Actinocyclus sp.)

　特徴；殻は円形で、殻周縁部は丸みを帯び、殻面と殻蓋の境界は不明瞭
　　である。
　　胞紋は円形で個々に独立し、胞紋列を作り束状に配列する。
　　殻中心では配列は不明瞭となる。
　　殻周縁に行くに従い、徐々に胞紋密度は細かくなる（469c）。
　　殻蓋の胞紋同士は隣接し、偏心的に配列する。
　　殻周縁には細い環状の畝に囲まれた目立つ孔が1つ存在する（469a-2
　　矢印）。
　　この孔は擬結節（pseudonodulus）である。
　殻径；32.0μm
　胞紋密度；殻面：9-10/10μm　殻蓋：20.5-21.5/10μm
　・採取地；北海道東部1-1(中新世の海成層)
　・封入；マウントメディア
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　アクティノキクルス属 03-04 (Actinocyclus sp.)

　特徴；殻は円形で殻蓋は比較的広く、殻面に対して斜めに傾く。
　　殻面の胞紋は不明瞭な胞紋列を作り、不明瞭な束状配列をするが、
　　中心付近では規則的な配列は認めらえない。
　　殻蓋の胞紋は殻面よりも密度が細かく、少なくとも4列の環状列を作る。
　　殻周縁部には殻縁から中心方向に向かって伸びる細い無紋域が
　　複数存在し、これらの殻縁側末端には縦長の孔が1つ存在する
　　（1064a黒矢印）。これは唇状突起の殻外側開口部である。
　　殻面と殻蓋境界付近に環状の無紋の畝に囲まれた比較的大きな孔が
　　1つ存在する。これは隣り合う2つの唇状突起外側開口部間やや内
　　側に存在する（白矢印）。これは擬結節（pseudonodulus）である。
　殻径；27.0μm
　胞紋密度；殻面：8.5-10.5/10μm　殻蓋：15.5-16.5/10μm
　周縁部唇状突起間距離；12.9-14.4μm
　・採取地；茨城県北部3(中期中新世の海成層)
　・封入；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm