バシラリア亜門(Bacillariophytiae) バシラリア綱(Bacillariophyceae) バシラリア目(Bacillariales) バシラリア科
　(Bacillariaceae) デンティクロプシス属(Denticulopsis) のうち、主に以下の特徴を持つ分類群を掲載します。
　・殻形は細長い楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。
　・殻表面はほぼ無紋で、片側殻縁にのみ大きな胞紋が擬隔壁間に2個殻縁に沿って並ぶ。
　・basal ridgerを伴わない擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　・光学顕微鏡下では、隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には周縁肋が比較的長いものが1本と短い
　　ものが複数本存在するように見える。
　このページに掲載されている標本は茨城県中部・北部の堆積層から採取した個体です。

　デンティクロプシス属02-02 (Denticulopsis hyalina (Schrader) Simonsen)

　特徴；殻面は楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。
　　胞紋は2本の擬隔壁間の片側殻縁に沿って2つずつ並び、殻表面はこれ以外は無紋である（1119ｃ
　　左側殻縁）。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い、等間隔に配列する。basal ridgeを伴わない擬隔壁（第2擬隔壁）は
　　認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には短い周縁肋が1-複数本認められる。
　　ただし、短いもののいくつかは殻蓋の凹凸で周縁肋ではない可能性がある。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)に記載されているDenticulopsis hyalina と一致する。
　殻長；10.9μm
　殻幅；4.3μm
　擬隔壁密度；4/10μm
　・採取地；茨城県北部5(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　デンティクロプシス属02-09 (Denticulopsis sp.)

　特徴；殻面は太い線形、または長い楕円形、殻端は尖らず丸まる。
　　胞紋は2本の擬隔壁間の片側殻縁に沿って2つずつ並び、殻表面はこれ
　　以外は無紋である。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い、等間隔に配列する。basal ridgeを伴わない
　　擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には短い周縁肋が2-3本認められる。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)のDenticulopsis hyalina
　　と一致する。
　殻長；25.6μm
　殻幅；6.8μm
　擬隔壁密度；3/10μm
　・採取地；茨城県中部１(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　デンティクロプシス属02-08
　(Denticulopsis hyalina (Schrader) Simonsen)

　特徴；殻面はやや長い楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。
　　胞紋は2本の擬隔壁間の片側殻縁に沿って2つずつ並び、殻表面はこれ
　　以外は無紋である。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い、等間隔に配列する。basal ridgeを伴わない
　　擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には短い周縁肋が認められる。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)のDenticulopsis hyalina と
　　一致する。
　殻長；17.3μm
　殻幅；6.1μm
　擬隔壁密度；3.5/10μm
　basal ridgeの幅；091-1.14μm
　・採取地；茨城県北部6(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　デンティクロプシス属02-04
　(Denticulopsis hyalina (Schrader) Simonsen)

　特徴；殻面は細い楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。殻の外形は若干ギザ
　　ギザである（600a）。
　　胞紋は2本の擬隔壁間の片側殻縁に沿って2つずつ並び、殻表面はこれ
　　以外は無紋である（600a左側殻縁）。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い（600b）、ほぼ等間隔に配列する。basal ridge
　　を伴わない擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には複数本の短い周縁肋が認められ
　　る（600b）。
　　ただし、これらのうののいくつかは殻蓋の凹凸で周縁肋ではない可能性が
　　ある。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)に記載されている
　　Denticulopsis hyalina と一致する。
　殻長；21.8μm
　殻幅5.9μm
　擬隔壁密度；3-3.5/10μm
　basal ridgeの幅；0.82-1.10μm
　・採取地；茨城県北部6(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

ページ作成および更新情報
　作成日：2016.06.30
　最終更新：2020.05.12

　タイプ1
　　・殻形は細い楕円形で、殻先端は広円形またはくさび形である。
　　・殻の外形はギザギザである。

　デンティクロプシス属02-05 (Denticulopsis hyalina (Schrader) Simonsen)

　特徴；殻面は細い楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。殻の外形は若干ギザギザである（602a）。
　　胞紋は2本の擬隔壁間の片側殻縁に沿って2つずつ並び、殻表面はこれ以外は無紋である（602a
　　右側殻縁）。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い（602c）、ほぼ等間隔に配列する。basal ridgeを伴わない擬隔壁（第2
　　擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には複数本の短い周縁肋が認められる（602c）。
　　ただし、これらのうののいくつかは殻蓋の凹凸で周縁肋ではない可能性がある。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)のDenticulopsis hyalina とほぼ一致する。
　殻長；38.1μm
　殻幅；6.5μm
　擬隔壁密度；3/10μm
　basal ridgeの幅；0.62-1.03μm
　・採取地；茨城県北部6(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　デンティクロプシス属02-07 (Denticulopsis sp.)

　特徴；殻面は楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。
　　殻面には胞紋は認められない。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い、等間隔に配列する。basal ridgeを伴わない
　　擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には短い周縁肋が認められる。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)のDenticulopsis
　　miocenica と殻外形や擬隔壁密度が一致する一方で、殻幅が若干小さい。
　　また、この標本は同文献のD. hyalina の特徴とも当てはまる。
　　ゆえに、どちらの種か判断できなかった。中間形態の可能性もある。
　殻長；13.2μm
　殻幅；5.2μm
　擬隔壁密度；4/10μm
　basal ridgeの幅；074-1.00μm
　・採取地；茨城県北部6(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　デンティクロプシス属02-01
　(Denticulopsis hyalina (Schrader) Simonsen)

　特徴；殻面は細い楕円形で、殻先端は丸みを帯びる。
　　殻の外形はギザギザである。
　　胞紋は2本の擬隔壁間の片側殻縁に沿って2つずつ並び、殻表面はこれ
　　以外は無紋である（632a右側殻縁）。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い、等間隔に配列する。basal ridgeを伴わない
　　擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には比較的長いものと短いもの合わせ
　　て1-2本周縁肋が認められる。ただし、短いものは殻蓋の凹凸で周縁肋
　　ではない可能性がある。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)に記載されている
　　Denticulopsis hyalina と一致する。
　殻長；18.3μm
　殻幅；4.7μm
　擬隔壁密度；3.5/10μm
　・採取地；茨城県北部7
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　デンティクロプシス属02-03
　(Denticulopsis hyalina (Schrader) Simonsen)

　特徴；殻面は細い楕円形もしくは丸みを帯びた披針形で、殻先端は丸みを帯
　　びる。殻の外形はギザギザである。
　　殻面全体を通して胞紋は見られない。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い、ほぼ等間隔に配列する。basal ridgerを伴わ
　　ない擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁には長いもの短いもの合わせて1-2本の
　　周縁肋が認められる。ただし、短いもののいくつかは殻蓋の凹凸で周縁肋
　　ではない可能性がある。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)に記載されている
　　Denticulopsis hyalina と一致する。
　殻長；16.2μm
　殻幅；4.6μm
　擬隔壁密度；4/10μm
　basal ridgeの幅；0.58-1.18μm
　・採取地；茨城県北部6(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

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参考文献；
　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.
　・Yanagisawa, Y. and Akiba, F.,1990. Taxonomy and phylogeny of the three marine diatom genera,
　　Crucidenticula, Denticulopsis and Neodenticula. 地質調査所月報, 41, 197-301.


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　デンティクロプシス属02-06 (Denticulopsis hyalina (Schrader) Simonsen)

　特徴；殻面は細い楕円形で、殻先端はくさび形である。殻の外形はギザギザである
　　（604d）。
　　胞紋は2本の擬隔壁間の片側殻縁に沿って2つずつ並び、殻表面はこれ以外は無紋
　　である（604d右側殻縁）。
　　擬隔壁はbasal ridgeを伴い（604a）、ほぼ等間隔に配列する。basal ridgeを伴わない
　　擬隔壁（第2擬隔壁）は認められない。
　　隣り合う2本の擬隔壁間の両殻縁にはそれぞれ1本の短い周縁肋が認められる（604a）。
　　以上の特徴は、Yanagisawa and Akiba(1990)に記載されているDenticulopsis
　　hyalina とほぼ一致するが、殻の大きさがこの標本の若干方が大きい。
　殻長；43.3μm
　殻幅；7.1μm
　擬隔壁密度；3/10μm
　basal ridgeの幅；086-1.31μm
　・採取地；茨城県北部6(中期中新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μmです。

　タイプ2
　　・殻の外形が滑らかである。
　　・殻形は楕円形である。