バシラリア亜門(Bacillariophytiae) チュウカンケイソウ綱(Mediophyceae) タラシオシラ目
　(Thalassiosirales) タラシオシラ科(Thalassiosiraceae) タラシオシラ属(Thalassiosira)のうち、
　以下の特徴を持つものを紹介します。
　・殻形は円形で、レンズ状に隆起し、周縁部は平坦である。
　・胞紋は多角形で胞紋列を作り、周縁部に行くに従い密度が細かくなる。
　・周縁部には短い条線が放散状に配列する。
　・殻周縁部よりやや殻中心側に太くチューブ状の突起が環状に配列し、この環状列上には小さな突起が
　　複数認められる。
　・殻面中心付近には周りの胞紋と様相の異なる孔が1つ認められる。
　このページに掲載されている標本は茨城県北部・千葉県北部・新潟県中部の堆積層から採取した個体です。

　タイプ1
　　・胞紋は胞紋列を作り、偏心的に配列する。
　　・殻周縁部よりやや殻中心側に太くチューブ状の突起が環状に不均質に配列する。
　　・殻面中心付近には周りの胞紋よりも小さい孔が1つ認められる。
　　この分類群は、下記の参考文献のAkiba (1985)のPlate11-7の標本と様相が類似する。

　タラシオシラ属 16-01 （Thalassiosira sp.）

　特徴；殻面は円形でレンズ状に隆起し、殻周縁部は平坦である。
　　胞紋は多角形で胞紋列を作り、偏心的に配列し、周縁部に行くに従い
　　密度が細かくなる。
　　周縁部には短い条線が放散状に配列する周縁域が存在する。
　　周縁域よりもさらに内側に太くチューブ状の突起が環状に不均質に配
　　列し、その環状列状には複数の小突起が認められる（298a）。
　殻径；33.2μm
　周縁部条線密度；11.5-12.5/10μm
　胞紋密度；殻中心付近：9.5-11/10μm
　　　　　　　　殻周縁付近：17-18.5/10μm
　太く明瞭な周縁部突起間距離；4.9-10.7μm
　周縁域幅；1.5-1.6μm
　・採取地；千葉県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

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　タイプ2
　　・胞紋は胞紋列を作り、束状に配列し、中心付近では偏心的に配列する。
　　・殻周縁域の中心側縁辺よりさらに内側には4本の太くチューブ状の突起が存在し、これらを環状につなぐように
　　　複数の小さな粒状の突起が配列する。
　　・殻中心付近には1つのチューブ状突起が認められる。
　　この分類群はタラシオシラ属16タイプ1と様相が類似していますが、前者は寄り胞紋密度が細かい点、周縁近くの
　　太いチューブ状突起間の距離が長い点、殻中心にチューブ状突起が1つ存在する点、殻中心付近以外の胞紋列が束
　　状配列である点が異なります。
　　また、下記の参考文献Akiba(1985)のPlate11-8の標本と様相が類似しています。

　タラシオシラ属 16-03 （Thalassiosira sp.）

　特徴；殻面は円形でレンズ状に隆起し、殻周縁部は平坦である。
　　胞紋は多角形で中心付近では偏心的に配列し、それ以外は束状に配列
　　する。胞紋は周縁部に行くに従い、密度が細かくなる。
　　周縁部には短い条線が放散状に配列する周縁域が存在する。
　　周縁域よりも内側に4本の極めて太くチューブ状の突起が存在し、こ
　　れらのチューブ状突起を環状につなぐように複数の粒状小突起が並ぶ
　　（966c）。
　　殻中心には1つのチューブ状突起が認められる（966a矢印）。
　殻径；32.1μm
　胞紋密度；14.5-18.5/10μm
　太い明瞭な周縁部突起間距離；16-23.7μm
　周縁部小突起；2.5-3.5/10μm
　・採取地；茨城県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

　タラシオシラ属 16-02 （Thalassiosira sp.）

　特徴；殻面は円形でレンズ状に隆起し、殻周縁部は平坦である。
　　胞紋は多角形で偏心的に配列し（300a）、周縁部に行くに従い、密度が
　　細かくなる。
　　周縁部には短い条線が放散状に配列する周縁域が存在する。
　　周縁域よりもやさらに内側に太くチューブ状の突起が環状に不均質に
　　配列し、その環状列状には複数の小突起が認められる（300b）。
　殻径；30.8μm
　周縁部条線密度；8.5-9/10μm
　胞紋密度；殻中心付近：10-11/10μm
　　　　　　　　殻周縁付近：14.5-16/10μm
　太く明瞭な周縁部突起間距離；4.2-10.4μm
　周縁域幅；1.7-1.8μm
　・採取地；千葉県北部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

ページ作成および更新情報
　作成日：2016.06.30
　最終更新：2019.06.30　　

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　タラシオシラ属 16-04 （Thalassiosira sp.）

　特徴；殻面は円形でレンズ状に隆起する。
　　胞紋はやや直線状から偏心的に配列する。
　　殻周縁よりもやや内側に明瞭な太いチューブ状の突起が環状に配列し、
　　これらをつなぐ様に小さな粒状の突起が並ぶ。
　殻径；29.7μm
　胞紋密度；11-16.5/10μm
　太い明瞭な周縁部突起間距離；7.3-13.9μm
　・採取地；新潟県中部1(鮮新世の海成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000
　・スケールバーは10μm

参考文献；
　　・Akiba, F. and Yanagisawa, Y., 1986. Taxonomy, morphorogy and phylogeny of the Neogene diatom
　　　zonal marker species in the middle-to-high latitudes of the North Pacific. Inicial Reported of the
　　　Deep Sea Drilling Project, 87: 438-554.
　　・南雲　保，鈴木秀和，佐藤晋也, 2018., 珪藻観察図鑑., 誠文堂新光社.　
　　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.


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