ジャイロシグマ属01

　バシラリア亜綱(Bacillariophycidae) ナビクラ目(Naviculales) プレウロシグマ科(Pleurosigmataceae)
　ジャイロシグマ属(Gyrosigma) のうち、主に以下の特徴を持つ分類群を掲載します。
　・殻面は細長い楕円形、または太い線形で、両殻端は互いに反対側に緩やかに湾曲する。
　・殻端で殻縁は片側は直線状、他方は弧状に湾曲する。
　・長軸方向に伸びる条線は殻中心付近で殻縁側に湾曲する。
　・縦溝の殻中心側端部は互いに反対側に曲がって終わる。
　・中心域は縦長の楕円形である。
　これらの分類群は淡水域（河川（埼玉県西部）、湖沼（茨城県南部））と汽水域（茨城県中部）で認められ
　ました。

参考文献；
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　・田中正明, 2002. 日本淡水産動植物プランクトン図鑑, 名古屋大学出版会.
　・渡辺仁治, 2005. 淡水珪藻生態図鑑, 内田老鶴圃.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　ジャイロシグマ属 01-01　(Gyrosigma sp.)

　殻長；79.9μm
　殻幅；13.8μm
　条線密度；短軸方向 19-21.5/10μm　長軸方向 22-23.5/10μm
　特徴；殻面はほぼ線形で、殻端付近のみ両殻端は互いに反対側に緩やかに曲がる。
　　殻端は楔形で末端は丸みを帯びる。
　　条線はおおむね平行に配列し、殻中心付近で湾曲する（1685a）。
　　条線密度は殻を通して大きな変化は無い。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走り、殻端付近で湾曲し、末端は若干幅が広がって終わる（1685b）。
　　縦溝は殻端側は殻湾曲内側に若干曲がる。
　　中心域は縦長の楕円形で、両脇には中心域周縁に沿うように細い畝が存在する。
　　田中（2002）のGyrosigma scalproidesとおおむね一致する一方で、渡辺（2005）のG. spenceriiと
　　大きさ、条線密度が一致する。
　・採取地；茨城県南部霞ケ浦（海跡湖）
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

　ジャイロシグマ属 01-02　(Gyrosigma sp.)

　殻長；52.6μm
　殻幅；10.3μm
　条線密度；殻横断方向 22.5-24.5/10μm
　特徴；殻面はほぼ線形で、殻端付近で片側の殻縁が緩やかな弧状を描き
　　ながら他方の直線状の殻縁に近づく。
　　殻末端は丸みを帯びる。
　　条線は縦溝を軸に殻面を横切るように伸び、おおむね平行に配列する
　　が、殻中心付近では乱れる。
　　この標本では縦方向の条線は観察できなかった。
　　縦溝はほぼ直線状に殻面を斜めに横断するように長軸方向に伸びる。
　　中心域は縦長の楕円形で、殻縁側縁辺に沿って細い畝が存在する。
　・採取地；埼玉県西部荒川
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm