プラコネイス属Top

　プラコネイス属 05-01
　(Placoneis gastrum (Ehrenberg) Mereschkowsky)
　（個別のページはありません）
　殻長；32.0μm
　殻幅；17.1μm
　条線密度；8-9/10μm
　特徴；殻面は楕円形で殻端付近で若干くびれる。
　　殻端はほぼ平坦で若干丸みを帯びる。
　　条線はおおむね放散状に配列し、殻端ではほぼ平行となる（上の写真）。
　　条線は殻中心付近では軸側端部が中心域方向に曲がる。
　　軸域は狭く殻中央をほぼ真っ直ぐに走る。
　　縦溝は殻中心側端部は孔を作って終わり、殻端側は同方向にフック状に
　　曲がりながら殻蓋へと続く（下の写真）。
　　殻中心側の縦溝の端部間の殻は肥厚化する。
　　中心域は狭く、中心域を囲む条線は長短交互に並ぶ（下の写真）。
　　この分類群は渡辺（2005）のNavicula gastrumと特徴が一致する。
　　N. gastrumはPinnularia gastrum Ehrenbergを同種異名に持ち、
　　P. gastrumはRound et al. (1990)でPlaconeis属の基準種の同種異名.と
　　されている。故に、このサイトではこの分類群をPlaconeis gastrumとする。
　・採取地；茨城県南部霞ケ浦（海跡湖）
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 08
　(Placoneis amphibola (Cleve) Cox)
　特徴；殻面は楕円形で、殻端はやや幅広く引っ張り出される。
　　条線は円形の胞紋からなる胞紋列で、大部分は弱い放散状に配列し、殻端の
　　1本のみ平行である。
　　軸域は殻端でその幅が狭まる。中心域は横長でやや広い。
　　北海道東部の湖成層で見られた。
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 09
　(Placoneis abiskoensis (Hustedt) Lange-Bertalot＆Metzelten)
　特徴；殻面は縦長の長方形、殻端は弱く頭状形に引っ張り出され、末端は丸まる。
　　条線は殻を通して放散状に配列し、軸域の端部付近は殻中心方向に緩やかに曲がる。
　　中心域は横長の四角形、または楕円形で、両殻縁から伸びる短い条線で囲まれる。
　　縦溝は内裂溝と外裂溝の位置が異なり、殻中心側端部は孔を作る。
　　プラコネイス属6と形が似ているが、この分類群はより大型で幅広くで、条線の軸側の
　　中心方向への曲がり具合が強い。
　　北海道東部の湖成層で見られた。
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 06　(Placoneis palaelginensis Lange-Bertalot)
　特徴；殻面は細長い楕円形または細長い長方形で、殻端は頭状形である。
　　両殻縁が平行である場合が多い
　　条線は弱い放散状に配列し、殻端のみ平行で、条線密度は急激に細かくなる。
　　条線の軸域側端部は殻中心方向に若干曲がる。
　　中心域は広い。
　　現生標本は河川の淡水域で、化石標本は泥炭層で見られた。
　・スケールバーは10μm

　バシラリア亜綱(Bacillariophycidae) キンベラ目(Cymbellales) キンベラ科(Cymbellaceae)
　プラコネイス属(Placoneis) の画像を紹介します。
　プラコネイス属は淡水域とおそらく海域に生息する珪藻で、泥表面に付着します。
　プラコネイス属の殻面は披針形や楕円形、線形で、殻端は嘴形または頭状形です。
　条線はおおむね放散状に配列します。両殻とも殻端から殻中心付近まで伸びる縦溝が存在します。
　長年、ナビクラ属とされてきましたが、殻の特徴などが異なり、近年はキンベラ属やゴンフォネマ属に
　近いとされています。ゴンフォネマ科に属するとする研究もあります。

参考文献；

　・Krammer, K. and Lange-Bertalot, H., 1999. Susswasserflora von Mitteleuropa, Bacillariophyceae1.
　　Spektrum AKADEMISCHER VERLAG.
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　・田中正明, 2002. 日本淡水産動植物プランクトン図鑑, 名古屋大学出版会.
　・渡辺仁治, 2005. 淡水珪藻生態図鑑, 内田老鶴圃.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au