プラコネイス属03

　バシラリア亜綱(Bacillariophycidae) キンベラ目(Cymbellales) キンベラ科(Cymbellaceae)
　プラコネイス属(Placoneis) P. elginensisを掲載します。この種は主に以下の特徴を持ちます。
　・殻面は楕円形で、殻端は嘴形、末端は丸みを帯びる。
　・条線は放散状に配列し、殻端のみ平行に配列する。
　・中心域は横長である。
　この分類群はRound et al.(1990)のPlaconeis属の特徴を持ち、渡辺（2005）のNavicula
　elginensisの特徴と一致します。N. elginensisはPlaconeis elginensisの基礎異名です。
　これらの分類群は現生では淡水域（河川（北海道東部））で、化石では群馬県と北海道東部の
　湖成層で認められました。

　プラコネイス属 03-01
　(Placoneis elginensis (Gregory) Cox)

　殻長；26.8μm
　殻幅；10.2μm
　条線密度；12-15.5/10μm
　特徴；殻端は嘴形、末端はほぼ平坦で、若干丸みを
　　帯びる。
　　条線は放散状に配列し、殻端のみ平行に配列する。
　　殻中心域付近の条線は若干湾曲する。
　　条線密度は殻端で細かくなる。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走る。
　　縦溝の殻中心側端部は孔を作って終わり、両端部
　　間の殻は肥厚する。
　　中心域は横長の四角形である。
　・採取地；北海道東部釧路川
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 F03-04
　(Placoneis elginensis (Gregory) Cox)

　殻長；20.7μm
　殻幅；8.0μm
　条線密度；13-14.5/10μm
　特徴；殻面は楕円形で、殻端は弱く引っ張り出され、引っ張り出された部分は
　　先細りし、末端は丸まる。
　　条線は殻を通して放散状に配列し、軸域近くで殻中心方向に緩やかに曲
　　がる。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走る。
　　中心域は横長の楕円形で、殻縁から伸びる3本の短い条線に囲まれ、縦溝
　　間は肥厚する。
　　縦溝は殻中央をまっすぐに走り、中心側端部は孔を作り、殻端側両端部は
　　互いに同方向に曲がる。
　・採取地；群馬県南部1(泥炭層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 03-02
　(Placoneis elginensis (Gregory) Cox)

　殻長；31.3μm
　殻幅；10.7μm
　条線密度；12-18/10μm
　特徴；殻端は嘴形、末端は丸みを帯びる。
　　条線は放散状に配列し、殻端のみ平行に配列する。
　　殻中心域付近の条線は若干湾曲する。
　　条線密度は殻端で細かくなる。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走る。
　　縦溝の殻中心側端部は孔を作って終わり、両端部間の
　　殻は肥厚する。
　　中心域は横長の楕円形または丸みを帯びたひし形であ
　　る。
　・採取地；北海道東部釧路川
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 F03-05
　(Placoneis elginensis (Gregory) Cox)

　殻長；30.5μm
　殻幅；10.3μm
　条線密度；11.5-13/10μm
　特徴；殻面は楕円形で、殻端は幅広く引っ張り出され、引っ張り出された部分の
　　幅は一定で、末端は平坦または幅広く丸まる。
　　条線は殻を通して放散状に配列し、軸域近くで殻中心方向に緩やかに曲がる。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走る。
　　中心域は横長の楕円形で、やや広い
　　縦溝は殻中央をまっすぐに走り、中心側端部は円形の孔を作って終わり、殻端
　　側両端部は互いに同方向に曲がり、殻蓋へと続く。
　・採取地；北海道東部2(湖成層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

参考文献；
　・Krammer, K. and Lange-Bertalot, H., 1999. Susswasserflora von Mitteleuropa, Bacillariophyceae1.
　　Spektrum AKADEMISCHER VERLAG.
　・Round, F. E., Crawford, R. M., and Mann, D. G., 1990. The diatoms, CAMBRIDGE.
　・渡辺仁治, 2005. 淡水珪藻生態図鑑, 内田老鶴圃.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　製作者：NaCl & Au

　プラコネイス属 F03-02
　(Placoneis elginensis (Gregory) Cox)

　殻長；28.8μm
　殻幅；9.5μm
　条線密度；11.5-13/10μm
　胞紋密度；24.5-29/10μm
　特徴；殻面はやや細長い楕円形で、殻端は弱く引っ張り出され、引っ張り出さ
　　れた部分は先細りし、末端は丸まる。
　　条線は放散状に配列し、殻端のみ平行に配列する。
　　条線は軸域近くで、殻中心方向に緩やかに曲がる。
　　胞紋は光学顕微鏡下でかろうじて見える場合があるほど細かい。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走る。
　　中心域は横長の楕円形で、殻縁から伸びる3-4本の短い条線に囲まれ、縦
　　溝間は肥厚する。
　　縦溝は殻中央をまっすぐに走り、中心側端部は孔を作り同方向に頭をもたげ
　　て終わり、殻端側端部は90度曲がる。
　・採取地；群馬県南部1(泥炭層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 F03-01
　(Placoneis elginensis (Gregory) Cox)

　殻長；19.1μm
　殻幅；7.0μm
　条線密度；11-13/10μm
　特徴；殻面は楕円形で、殻端はやや幅広く引っ張り出され、引っ張り出された
　　部分の幅はおおむね一定で、末端は丸まる。
　　条線は放散状に配列し、殻端のみ平行に配列する。
　　条線は軸域付近で中心側に緩やかに曲がる。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走る。
　　中心域は横長の長方形で、殻縁には短い条線が2-3本存在する。
　　縦溝は殻中央をまっすぐに走り、中心側端部は向かい合って終わり、殻端側
　　端部は曲がる。
　・採取地；群馬県南部1(泥炭層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm

　プラコネイス属 F03-03
　(Placoneis elginensis (Gregory) Cox)

　殻長；26.3μm
　殻幅；8.3μm
　条線密度；12.5-14.5/10μm
　特徴；殻面は楕円形で、殻端は弱く引っ張り出され、引っ張り出された部分は
　　先細りし、末端は丸まる。
　　条線は殻を通して放散状に配列し、殻端に行くに従いその密度は細かくなる。
　　条線は軸域近くで、殻中心方向に緩やかに曲がる。
　　軸域は狭く、殻中央をまっすぐに走る。
　　中心域は横長の楕円形、または長方形で、殻縁から伸びる4-5本の短い条
　　線に囲まれ、縦溝間は肥厚する。
　　縦溝は殻中央をまっすぐに走り、中心側端部は孔を作り同方向に頭をもたげ
　　て終わり、殻端側両端部は互いに反対側に曲がる。
　・採取地；群馬県南部1(泥炭層)
　・封入剤；カナダバルサム
　・撮影倍率；×1000　
　・スケールバーは10μm